チュオク

大切な場所
バイト終わりに行った場所
みんな馬鹿騒ぎしたあの場所

花火
海岸線のドライブ
誰が誰を好きだなんて考えたことなかった

灯りの消えた観覧車
高層ホテルの灯りが消えない

潮風の匂い
目的なく騒いで大人になるのを拒んでいた
昼間は誰の目にも止まらないオブジェが僕らを歓迎してくれている

眠ることを若さが拒み
いつまでも騒いでいたかった
止まった噴水
飛び込みはしなかったけれど
飛び込む勢いで笑っていたね

青春の1ページと言って
美化したくはない

でも今でもぼんやりと覚えている
大切な思い出
たまに通るとふと思い出すんだ


不安を抱えて
バイト終わりに行った場所
急に静まり返ったあの場所

貨物船
赤レンガ倉庫の落書き
誰がそこから消えて行くなんて考えてなかった

明かりの消えた駅のホーム
あの頃はまだ地下鉄もなかった

繁華街の明かり
見えない不安に怯えたくないから黙っていた
動かないジェットコースター眺めて　見えない明日を想像していた

進むことを若さで拒み
いつまでも目を背けていたかった
響く足音
自分のものだとわかっていたけれど
どこまでも走って逃げたかった

ドラマみたいだったなんて
美化したくはない

でも今でもはっきりと覚えている
大切な思い出
時間を戻したいと思い出すんだ


2020 Ichigou.

いきなり作詞ができてしまう本！ (言視ＢＯＯＫＳ)

• 作者: 葉月　けめこ
• 出版社/メーカー: 言視舎
• 発売日: 2015/04/22
• メディア: 単行本